雨毒
うどく
 6年前のヨサメ暴発により発現した、強い毒性を有する黒い雨。
 これに触れた体部分は黒く変色・硬化し、最終的に壊死に至るとされているが、その根本的な仕組みは研究の最中である。
 細菌由来とは考えづらいという考えが一般的なようで、時間経過、および接地の際の衝撃が関与することで無毒化される可能性が示され始めた。
 それを裏付ける一つに、雨毒の初観測以降、地下水を摂取したことによって発症した例がないことが挙げられる。
雨毒雲
うどくぐも
 雨毒を降らせる黒い雲こと。
 ネヴェリオ全土と隣国の一部にかかったまま数年間ほとんど動かず、太陽の光もほぼ遮断してしまう。
 これによりネヴェリオ全土の平均気温は以前よりも20℃以上低下。
 広大だった砂漠地帯は寒冷化しており、ますます人が住むには厳しい環境となっている。
 年に数日だけ、雲間から太陽が顔を覗かせることがある。
新人類
しんじんるい
 雨毒による生殖機能喪失への対策として生み出された人造人間全般を示す総称。
 古くから培われてきた遺伝子クローン、多能性幹細胞研究を応用している。
 彼らに統一した外見的特徴はなく、運動や言語などに関しても予め備えつけられている一方で、再生能力の顕著な向上が図られていることがこの呼称の条件である。  
ネヴェリオ
Nelverio
 正式名称はネヴェリオ連立併合国。
 50年前の敗戦国2国から成立する民主国家で、国土の多くを砂漠地帯が占めていた。
 それから20年後、主たる声明も出されぬままヨサメを建造したことにより隣国から強い批判を受け、交易減縮などの制裁措置を余儀なくされる。
 以後、ヨサメは何もなくその場に聳えるだけであったが、国民は貧窮し、暴動が激化。
 その頃合いに突如発動したヨサメによって全土は厚い黒い雲に包まれることとなる。
 首都ロットラントの市街地以外ライフラインの整備はされておらず、国家の機能を知る手段はほぼラジオのみである。
廻人
ねど
 新人類のひとつとして分類される人造人間のこと。
 再生能力を向上させるために星霜匣の使用を必要とする性質を持つ者が対象。
ヨサメ
夜雨
 30年前、ロットラント郊外に建設された上方放射式の定置型巨大砲熕。
 高さ約200メートルの白い砲身を、地に根付くように張られた6本の支柱と数百のケーブルが固定している。
 6年前の予期せぬ暴発によって雨毒を放散した兵器であるが、後にも先にも起動が確認されたのはその一度きりで、何者による仕業なのか分からず仕舞いであるのみならず、管理の所在も知れていないという噂が流れている。
 砲身を隠すように巻きつけられた赤と青の長旗はネヴェリオとロットラントの指定する公式色が由来。
ロットラント
Lotrrant
 ネヴェリオの首都であり、物流の要を担っている一大都市。
 雨を避けるために設けられたアーチの下、大量の電灯に照らされる市場は国内随一の繁華地。
 雨毒発生前は200万人超いた人口も、今では4割ほどまで激減。
 居住領域もごく限られており、アーチ外に住まざるを得なくなった者は下層民と差別されるようになっている。
 街の外れに建てられたヨサメが大きなシンボルだが、当然、その存在を良く思わない市民が過数である。